会社法変化への対応(株式会社向け)


 平成28年10月1日,株主リストが添付書類に入ってきた。

登記すべき事項につき株主全員の同意を要する場合に必要。


 結局,およそすべてのものと解釈したほうがいい。種類株主総会の決議を要する場合も,普通の会社にはないだろう。
役員の就任の登記に,本人確認書類を添付する。
 印鑑証明が申請書についている場合は要らない。

代表取締役の辞任登記は届出印が必要だ。

 平成27年5月1日からは,
(1)平成18年4月30日以前に平成18年5月1日以降に設立された株式会社で
 小会社の場合,@ 資本金は1億円以下であり(平成18 年5 月1 日当時, 資本金が1億円以下であり,かつ,最終の貸借対照表の負債の部に計上した金額の合計が200 億円未満である。)。
 株式譲渡制限ある会社について,
(2)平成18年5月1日以降に設立された株式会社設立された株式会社は,定款に監査役の監査の範囲かつを会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある場合であれば,
 
監査役について,

 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある,との登記をする必要がある。
 
 
 評価 (1)の会社は,法律で
              (会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第87号)第53条の規定により)
             ,監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるとみなされているから,その旨の登記が必要になってしまう。

     (2)の会社は上記のように,法律でみなされないから,定款に記載がある場合だけである。義務はないことになる。

     通常なら,(1)の会社で,会社の自治に関係なく,会計権限にみなされてしまうのだから,小会社でかつ株式譲渡制限会社で新規設立のときにも,会計権限に限るのが普通だが,
     新規設立もしくは(2)の会社は,会社の自治が認められる。わざわざ,小さな会社が,監査役をおくとて,定款を変更して,手続きはしないだろう。
     実務では,わざわざ面倒な定款変更手続きはしないのだ。
     したがって,問題は,(1)の会社なのであり,整備法の規定もバランスを欠いたが,会社自治の問題に踏み込めない宿命を感じる。
     
     まあ,司法書士レベルの会社は,簡単手続,安価が旨だから,はじめから監査役を置かないのが,通常ではある。

 
今まで,会社設立等の会社の手続に関する法律は,商法の中に規定されていた。今回,第162回国会において,平成17年6月29日会社法が可決された。会社法は,平成17年7月26日公布され,平成18年5月1日に施行の予定だ。新しい規定も多く,改正点も多いのが,直接,自分たちに影響のある重要な点のポイントのみみてみる。尚,詳細につきましては,法務省のHPに掲載されている。

■平成18年5月1日に,覚えがなく,見慣れない登記の記載がなされる。
従来からある株式会社に,「取締役会を設置する」,「監査役を設置する」,「株券を発行する」
の職権登記がなされる。

理屈はさておき,これを消すのに国への費用がかかる。手続をするために司法書士に依頼すると司法書士報酬がかかり,10万円程度の出費となると思われる。

今まで取締役会を会社として設置してたのだから,会社法の新しい規定で,任意の機関となっても,国が勝手に登記できないから,今までの規定が変更されないであろうと考えたと思う。

中小の会社にとって,大きい痛手である。
  • 株式会社の役員(取締役・監査役)の規定の変更について(任期・員数)
  • 株式会社の役員の任期が10年となります。今までの役員の任期に関する規定では,取締役が2年,監査役が4年でした。会社法での原則も変更はありません。しかし新会社法では,定款に定めを設ければ,「就任後,10年内の決算期に関する定時総会の終結までとする」任期に関する定款の規定を設けることができるようになりました。ただし,@非公開会社であること,A定款での定めを置く事,が必要です。平成18年5月1日以後の役員就任登記に適用されますから,その前に任期満了する役員は,平成18年5月1日以降に,もう一度,重任登記の必要があります。その際に,定款を変更することになると思います。 なお,非公開会社とは,株式の譲渡制限の定めのある株式会社です。
  • 会社には,取締役が1名いれば足りることになります。今までの,株式会社では,取締役3名以上,監査役1名以上,代表取締役1名を置く事が,最低必要でした。平成18年5月1日以降は,有限会社の設立も無くなり,有限会社と株式会社の実質的内容に違いがなくなります。ですから,従来の株式会社も会社の定款を変更すれば,取締役1名を置き,会社を存続することができます
  • ■「株式の譲渡をするには,取締役会の承認をようする」など株式譲渡制限の規定のない会社があります。

    小さな会社では,この規定がない場合,特に注意が必要だ。
  • 株式譲渡制限の規定のない会社は,公開会社と言われます。株式譲渡制限の規定のある会社,非公開会社についてだけ,小会社の役員の任期,役員の員数の規定が適用できますが,公開会社にはこのような規定が適用ありません。
  • 監査役についても,小会社では監査役の権限の範囲が会計に関するものに限定されますが(会社法施行によってみなさせる旨の条項がある),公開会社である場合には,監査役の権限の範囲を限定することができないため,従来の監査役は,権限の範囲が会社施行による監査役の権限と異なり,施行日に任期満了により退任することになる。このような会社では,監査役の退任登記をしなければならない。
  • では,どうするか。
    小会社で,公開会社になってしまう会社は,非公開会社にすればよい。
    あらたに,株式の譲渡制限規定を設けた定款変更をすればよい。
    おそらく,ほとんどの会社では株券を発行していないと思いますが(準株券廃止会社といいます),この種類の会社には,株式譲渡制限規定を設ける際の株券提供公告・通知をしなければならない規定の適用がない。しかし,116条1項1号によって,株式譲渡制限規定を設ける定款変更には,反対株主の買取請求権の問題が生じ,定款変更の効力に効力発生日の20日前に公告・通知が必要である。このようにして非公開会社にすればよい。登録免許税として3万円がかかる。


  • 埼玉県志木市本町一丁目9番20号
    司法書士 湯原 收
    電話 048−471-1422
    ファックス 048-476−0256
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