外国人が当事者の登記
 日本にある住宅を外国人が購入し,登記手続をする場面に出会う場合が多くなってきている。

不動産の所有権を取得し,所有権の登記をする場合もあるが,その後,住宅を売却する場合もある。
住宅を購入する人のために,金銭を貸し付ける当事者に外国人がなる場合もある。外国の会社が貸す場合もある。

 具体的には,今まで,カナダ(Canada),中国(China),韓国(Korea),イギリス(England),アメリカ(USA),オランダ(Netherland),北朝鮮(North Korea),フィリピン(philipine)に国籍がある人の登記を経験してきた。
 将来的に見れば,ヨーロッパのように東アジア圏(Far East)の経済交流が進むと,特別な意味を持たない手続になるのだろう。


日本の社会の仕組みでは,「何人」にも権利があるのが建前(ある種の理由からくる例外はある)。
民法も3条で,あえて,「外国人は,法令又は条約の規定により禁止される場合を除き,私権を享有する。」と成文化した。

登記手続ではどうなるかといえば,日本人と左程変らない。
外国人が日本に居住している場合。
    市区町村役場で,外国人登録をしなければならないことになっている。外国人登録法3条
    (入国したとき上陸した日から90日以内に,市区町村に登録の申請をしなければならない)
    200万人以上が登録している。
    この登録をしていれば,外国人登録証明書が日本人の住民票の代わりとして使用できる。

    委任状を作成する場合,東アジア圏では,印鑑を使用する習慣があるので,署名と印鑑を押して委任状を作成する。
    印鑑を使用する習慣のない地域の国の人は,サインだけでよい。
    サインが習慣の国のひとでも,印鑑を作って押印してもよい。

    不動産を買うだけなら上記の書類でよいが,売るばあいや,買ったときにローンを設定するとき
    日本人なら印鑑証明が必要だが,外国人も外国人登録をしていると印鑑の登録ができて,
    印鑑証明が発行される。

    印鑑を使用する国の人は,問題ないだろうが,印鑑を使用する習慣のない地域の国の人は印鑑を作成してから
    登録することになる。印鑑の形式にこだわる必要はなく,アルファベットや日本のァナ文字を使用して印鑑を作成してもよい。
    その後。登録すれば,印鑑証明が交付される。

外国人が,外国に住所がある場合
    まず,韓国の場合,用いようと思えば,韓国で使用している日本の住民票や印鑑証明に代わりうる書類とその訳文をつければ
    手続が可能というのが,日本の役所の建前。しかし,訳文を作成する費用が高い。日本の司法書士も理屈では,
    これらの書類の取得が可能。しかし,韓国文字がわからないので,申請した話を聞いたことがないし,私自身経験もない。

    その他の国では,公証役場(ノータリー)で,
    「私の住所は○○です」の旨の証明書を発行してもらう。
    印鑑証明もサイン証明で代用する。
    サイン証明とは,公証役場で,「本人が私の前に出頭し,自分の署名をした。私はそれを見た」などの旨の証明をしてもらう。
    ちなみに,公証役場は,その国に限らず,どの国でもよい,
    つまり,日本でもよく,外国人登録をしていない外国人は,日本の公証役場で証明してもらえば可能となる。
    費用は,1万円以下だった記憶がある。
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